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目次
ミッドサマーの基本データ
作品の公開年・製作国:2019年・アメリカ合衆国・スウェーデン
作品の長さ:2時間27分
原題:Midsommar
解説:初の長編映画『ヘレディタリー/継承』を「21世紀最高のホラー映画」とまで絶賛されたアリ・アスター監督の2作目の長編作品。
スウェーデンの夏至祭をモチーフにした一風変わったテイストのホラー映画。
白夜の下で繰り広げられる異教の儀式と凄惨で美しい結末を描く。
スタッフ:
・監督:アリ・アスター
・脚本:アリ・アスター
・音楽:ボビー・クーリック
キャスト:
・フローレンス・ピュー(ダニー役)
・ジャック・レイナー(クリスチャン役)
・ウィリアム・ジャクソン・ハーパー(ジョシュ役)
・ヴィルヘルム・ブロングレン(ペレ役)
・ウィル・ポールター(マーク役)
ミッドサマーのあらすじ
大学生のダニーは、妹が両親を道連れに一家心中してしまい、失意のどん底に沈む。ダニーの恋人のクリスチャンは彼女の心の支えになろうとしながらも、彼女の存在を重荷に感じているようだった。
翌年、ダニーはスウェーデン出身の留学生ペレの故郷で開かれる90年に一度の夏至祭に興味を持ち、友人たち(ジョシュ、マーク)と共に参加することにした。話を聞いたダニーも同行する。
スウェーデンに到着した一行は、ペレの生まれ育ったコミュニティのあるボルガ村を訪問。どうやら90年に一度の夏至祭とは、一般的なものではなく、この特定のコミュニティで行われるものらしいことがわかってくる。
明るくフレンドリーな村人たちと、象徴的な壁画。共同生活。何か違和感を感じ始める一行は、アッテストゥパンの儀式で予想もしなかった光景を目にする・・・
ミッドサマーのネタバレ・考察
ストーリー自体は、一言で言ってしまうと、
「異邦人が土着的・異教的な祭りで生贄になる系のホラー」
ですw
とはいえ・・・
「ああ、つまり
ウイッカーマンとか、ザ・リチュアル いけにえの儀式とか、悪魔の追跡みたいな?」
と思われてしまうと、ちょっと違うかな。
ウイッカーマンやザ・リチュアル いけにえの儀式とか、悪魔の追跡は、あくまでも異教的/悪魔的/邪神崇拝の組織に追われる側の視点で描かれていて、最後に逃げ切れるか?それとも殺されるか?というポイントが焦点とされていますよね。
しかし、「ミッドサマー」はそうではないんです。
そしてこの点が、ミッドサマーの魅力であると私は思いました。
というわけで、この記事では、ミッドサマーの魅力を詳しく検証していきたいと思います。
ミッドサマーは、なぜ絶賛と酷評とに分かれているのか?
ミッドサマーのAmazonレビューを見てみると、結構評価が分かれていることが見て取れます。
2020年7月20日現在でこんな感じですね。
もちろん、どんな映画や作品であっても、人によって好き嫌いが違いますから、評価が分かれていること自体は珍しくもなんともありません。
しかし、レビューを細かく見ていくと、低い評価を付けている人は、こういった意見を書いています。
ラストの笑顔は、何なんだ?イミフを超越して、嫌悪感しか残らない。
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ホラーというよりはカルトの気持ち悪さだけ残る映画。明るい雰囲気のカルトが恐ろしいことしてる!殺しまくってる!あぁそうそれで?という気分で終わりました。
宗教と心の病を絡めた内容は不快で、見終わってもひきずります。
観終わって丸一日以上たつが、いまだに若干の胸糞の悪さが残る。
まとめますと、マイナス評価をつけた人のほとんどは
・生理的に合わない。
・嫌悪感が残った。
と言っているわけです。
一方で、☆5つをつけている人たちの感想を見て見ると・・・
主人公の視点からこの映画を見れば、ある意味救済の物語となります。
「めちゃ美しい痛快スッキリ映画」です。個人的には。
ダニーは救われた。これは間違いなくハッピーエンドですね。
主人公の苦しみを理解できるか出来ないか。
これがこの作品が楽しめるか楽しめないかを猛烈に左右します。
・・・
ダニーに感情移入していれば爽やかな気分でエンドロールを眺められるはずです。
主人公にとっては、素晴らしい輝きのお伽話です。刺激的な描写や残酷な展開が多くて息を呑むけれど、観終わった時にいちばん残るのはそれではない。
というわけで、「ミッドサマー」を高く評価している人の共通点は、
・主人公の苦しみを理解できるのなら、ハッピーエンドである。
ということになります。
つまり、ミッドサマーを楽しめるかどうかは、主人公のダニーに感情移入できるかどうかに掛かっているかと。
ミッドサマーのラスト、ダニーの笑顔の意味とは?
「ミッドサマーの最後に、泣き叫んでいたダニーが笑顔になるけれど、あれにはどんな意味があるの?」という方もいると思います。
このダニーの笑顔の意味について、私なりの考えを述べさせていただきます。
「カタルシス」という言葉をご存知でしょうか?
文学作品などの鑑賞において、そこに展開される世界への感情移入が行われることで、日常生活の中で抑圧されていた感情が解放され、快感がもたらされること。特に悲劇のもたらす効果としてアリストテレスが説いた。浄化。
引用元:コトバンク
定義にあるように、語源はギリシア語です。
ギリシア悲劇は、自分が抵抗できない運命によって、破滅的な結末を迎えるお話しが多いですが、観客はそういった悲劇を見るとことで、日頃抑圧されていた感情を解放し、快感を覚える・・・それがカタルシスです。
私が、ミッドサマーを見て最後に感じたのは正にこれ、カタルシスでした。
無理心中によって家族を失ってしまい、苦しくて、苦しくてどうしたらいいかわからない・・・恋人も、寄り添ってくれているようだけれど、自分の気持ちをわかってくれない。
そんなダニーが、泣き叫ぶことによって、自分の感情を解放する。
その結果としての笑顔、だったと思うのです。
ちなみに、このカタルシスっていうのは、アリ・アスター監督の前作「ヘレディタリー/継承」においても、ひとつのテーマでだった気がします。
その理由は、
・母親役のトニ・コレットの過剰ともいえる感情的な演技
・息子の学校の授業でギリシャ悲劇についての講義が行われている
です。
以上、ミッドサマーに関する私なりの感想と考察でした。
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